相続税における生命保険の計算
生命保険は、相続税の計算において非課税枠が設けられているため節税効果があります。相続税対策を行う上で有効な対策となりますが、契約内容によっては思いもよらない税金を納めなくてはならない場合もございますので注意しましょう。
下記にて、相続税における生命保険の計算の仕組み、正しい契約の仕方をお教えいたしますのでご参照ください。
相続税における生命保険の計算の仕組み
生命保険を受け取った場合、相続税の計算において非課税枠が設けられています。非課税枠の金額は「500万円×法定相続人の数」となっており、法定相続人の数が多いほど非課税枠も拡大されます。
注意する点として、相続人以外の人が受け取った生命保険については非課税枠の適用がありません。
生命保険契約のメリット
まず、生命保険のメリットは以下の通りです。
- 相続税の計算において、非課税枠が利用できる
- 受取人が指定でき、遺産分割の対象とならないためトラブルが起きない
- 早く保険金が受け取れるので、葬儀費用や相続税の納税資金として確保できる
- 養子も相続放棄した人も非課税枠の人数に含めて計算できる
①については、預金として相続した場合と保険として相続した場合では大きく税金が変動します。
②については、契約をする際に受取人を指定することができます。相続人の間で話し合うことなく相続できるためトラブルも起きにくく、遺言書が相続人の遺留分を侵害していたとしても生命保険は遺留分の対象となりません。
③については、被相続人が亡くなった後発生する多額の出費への対策となります。通常、被相続人の預金口座に関しては相続が発生した後に凍結されるため、相続人の名義変更が行われるまでは自由に引き出し等することができません。そのため、遺産分割等の手続きの時間をかけてしまうと葬儀費用や入院費等の支払いはもちろん、相続が発生してから10か月後が期限となる相続税の納税の際にも利用することができない場合がございます。しかし、この時に生命保険金を受け取っておくことにより支払いに充てることができます。
④については、非課税の枠の計算において、万一相続人の中に相続放棄をした人がいたとしても、その放棄がなかったものとして法定相続人の数が決まります。また、養子の人も法定相続人の人数に含まれるため、非課税枠が拡大します。また養子については実子がいる場合は1人、いない場合2人まで法定相続人の人数に含めることができます。
生命保険契約の注意点
生命保険は相続対策において有効であり、かつ手軽に行うことができます。しかし、契約の仕方を取り誤ると相続税の対象とならず、多額の税金が発生してしまいます。こちらでは、生命保険の正しい契約の仕方や注意点について説明いたしますのでご参照ください。
相続税の対象となるケース
保険料負担者:被相続人
受取人:相続人
ポイントは、被保険者と保険料負担者の両者とも被相続人ということです。
所得税が課せられるケース
保険料負担者:相続人
受取人:相続人
このような場合は、保険の対象者が被相続人であったとしても、相続人が保険料を負担し、さらに相続人自身が受取人の場合には所得税が課税されます。
贈与税が課せられるケース
保険料負担者:相続人A
受取人:相続人B
このような場合は、保険料負担者と受取人が別の相続人の契約になっているため贈与税が課税されてしまいます。この表の場合ですと相続人Aから相続人Bへの贈与となり、相続人Bが贈与税を納める必要があります。贈与税は税率が相続税・所得税に比べ高くなっており、納税額が高額になる可能性が高いため契約内容には充分気をつけましょう。
生命保険は誰でも行える節税対策ですが、知識なく契約を行うとむしろ税負担が多くなってしまうということがあります。生命保険を活用した相続税対策について少しでもご不明な点等がございましたら、大阪相続税申告相談室までお問合せください。初回無料相談から親身に対応させていただきます。