相続税における事業用資産
相続では生前に亡くなった人が使っていた車や家電、家財道具なども相続人に引き継がれることとなり、それらについても相続税の課税対象財産として扱わなければいけません。同様に、被相続人が個人事業主であった場合、事業のための資産(以下、事業用資産)も相続税の課税対象として計算に含むことになるので注意が必要です。
事業用資産には、事業運営のために使われる器具、工具、備品、機械装置などの一般動産と、販売される予定である商品の棚卸資産があります。
こちらでは、相続税における事業用資産の概要と評価方法について解説いたします。
一般動産の評価
主に物体として存在する不動産以外のものを、一般動産として分類します。
例
- 電化製品(テレビ、冷蔵庫など)
- 自動車
- 家具(ベットやソファ、机など)
- 事業用の機械装置
- ペット
- コンサートチケット、乗車券
※家屋に付属する設備(冷暖房設備、給排水設備、浴槽設備など)については一般動産に該当しません。無体財産権(著作権など)についても動産には含まれません。
一般動産の評価方法
原則、売買実例価額や精通者意見価格等を参考とします。ただし、売買実例価額や精通者意見価格等の参考となる値が存在しない場合には、対象の動産と同じ規格や種別の小売価額(新品)を基準とし、事業用一般動産についてはその動産の償却費の合計(製造時~課税時期)を、非事業用一般動産については減価の額を差し引いて評価額を算出します。
棚卸資産の評価
棚卸資産は、主に事業における在庫のことであり、販売されていない仕入れた商品のことをいいます。
例
- 商品
- 半製品や仕掛品
- 未加工の原材料 など
なお、下記については棚卸資産に該当しません。
- 事業用資産の買換えの特例を受けることを目的とし、一時的に事業の用途に使ったとされる資産
- 空閑地の土地や空き家等
棚卸資産の評価方法
棚卸資産のうち、下記の①、②に該当するものについては個別法を用いて評価額を算出することが認められています。
- 商品の取得から販売に至るまでの過程を通じて具体的に個品管理が行われている場合又は製品、半製品若しくは仕掛品の取得から販売若しくは消費までの過程を通じて具体的に個品管理が行われ、かつ、個別原価計算が実施されている場合において、その個品管理を行うこと又は個別原価計算を実施することに合理性があると認められるときにおけるその商品又は製品、半製品若しくは仕掛品
- その性質上専ら①の製品又は半製品の製造等の用に供されるものとして保有されている原材料
(①、②は国税庁HPより抜粋)
事業用資産の評価と減価償却
確定申告の際に減価償却の計算を行っている事業用資産(備品や車、工具など)は、一般的にそこから算出された残存価額を評価として採用します。
商品の場合の計算式
販売予定価格 - 適正利潤 - 経費 - 消費税 = 商品の評価額
上記のように被相続人が個人事業主である場合には、相続財産の評価方法も複雑になりますので注意が必要です。
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