相続税が無申告の場合の時効とペナルティ
相続税を申告しなかった場合の時効とペナルティについてご説明いたします。
相続税の時効
相続税の時効期間は、5年と7年の2種類あります。「善意」か「悪意」どちらかによって時効期間が変わります。5年は善意の場合の時効、7年は悪意の場合の時効です。例えば、相続財産の存在を知らなかったために、申告納税していなかった場合は「善意」の時効となります。
善意の時効の例
・1億円相当の相続財産があり、それが全てと認識して申告をしていたが、実は300万円の預金が別にあり、その存在に全く気がついていなかった。
⇒この状況であれば、300万円の預金の相続税申告をしていないことは善意とみなされるでしょう。善意か悪意かの解釈には、申告して納税した分と、未申告分の金額の大小も影響するとされています。
悪意の時効の例
・相続財産として6,000万円と申告したものの、実際には他に10億円の現金を隠し持っており、この分を申告しなかった。
⇒この状況では、申告時に10億円の現金の存在を認識していなかったとは考えにくいです。「悪意」とみなされる可能性が高いでしょう。
このように時効の期間は、相続人の認識と状況で異なります。時効まで税務署から逃げ切ることが出来るのではと考えるかもしれませんが、不可能に近い行為であるといえます。
その理由として、日本の法律では、市区町村役場は死亡事実を税務署に連絡することになっています。その際に税務署は、被相続人が住んでいた市区町村にある被相続人所有の不動産情報を収集します。また税務署は、被相続人の過去の譲渡や高額な所得があったことなどをデータとして蓄積するなど、無申告の対策を行っておりますので、後からペナルティを受けないためにも適切に申告をすることが大切です。
無申告の際のペナルティ
相続税を期限内に申告しなかった場合のペナルティについて、解説いたします。相続税を期限内に申告しなかった場合は、無申告加算税を納めることになりますが、税務調査の前後、および納税額によっても利率が異なるため注意が必要です。
無申告加算税は以下の3パターンに分けられます。
- 自主的に期限後申告を提出した場合は、納税額に5%が課せられます。
- 税務調査により税金が課せられた場合、納税額の50万円までが15%を課せられます。
- 税務調査により税金が課せられた場合、納税額の50万円を超えた場合、超えた税額に対して20%を課せられます。
さらに、不正があると判断された場合は、重加算税として40%と非常に重いペナルティが課せられることになります。
次に申告期限の翌日から相続税を納税するまでの期間について、延滞税が課税されます。また、平成26年1月1日から令和2年12月31日までの期間は、年「7.3%」と「特例基準割合(注4)+1%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
- 平成30年1月1日から令和2年12月31日までの期間は、年2.6%
- 平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間は、年2.7%
- 平成27年1月1日から平成28年12月31日までの期間は、年2.8%
納期限(相続税の申告書提出期限など)から納税が2か月以上遅れた場合は、更に加算されることとなるので気をつけましょう。
大阪にお住まいの方で、相続税申告について少しでもお困り事がございましたら、相続税に精通した税理士へ相談することをお勧めします。大阪相続税申告相談室では、大阪にお住まいの皆さまの相続税申告に関するお悩みごとに、初回無料相談から親身に対応させていただきます。