相続税の納税猶予と生産緑地

生産緑地地区の区域内にある土地又は森林のことを生産緑地といいます。生産緑地の指定を受ける際、下記の条件に該当する一団の区域に関しては生産緑地地区として定めることが可能となります。

生産緑地地区

  • 市街化区域内の農地等であること
  • 公害等の防止に役立つなど、農林漁業として調和した都市環境の保全の効用を有していること
  • 公園や緑地等、公共施設の敷地として適していること
  • 面積が500㎡以上の良好に耕作されている農地であること
  • 用排水等の営農継続可能条件を備えていること

生産緑地地区の農地は生産緑地法によって転用が規制されています。そのため評価及び課税にあたっては一般農地と同様の扱いとされます。
通常では、特定市街化区域農地(三大都市圏の市街化区域農地)は宅地並課税となりますが、生産緑地に指定されることで大都市部においても固定資産税や都市計画税が一般農地並みの扱いとなり、税金が少なくなるのです。

生産緑地と納税猶予

相続や遺贈によって取得した生産緑地地区の農地を引き続き農業のために使用する場合、一定の要件を満たすことで相続税の一定額の納税猶予を申請することが可能です。納税猶予の特例とは主に、農業を営んでいた被相続人から農業用に供されていた農地等を、相続によって取得した農業相続人が引き続き農業を営む場合に、一定の要件を満たすことで相続税額の納税を猶予するというものになります。

この特例は農業経営を継続するための猶予制度であり、農業相続人が死亡した場合など、一定の事由に該当しない限り免除されません。譲渡や農地以外への転用、農業経営の廃止等、農業を営まなくなった場合、生産緑地の指定解除によって納税猶予は打ち切りとなります。

なお、納税猶予が打ち切られた場合は相続時まで遡って課税されます。猶予されていた本来の相続税と併せて猶予期間に応じた利子税も納付しなければならないため、多額の税金が課せられます。

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