特定貸付における相続税の納税猶予
以前は特定農地にて賃貸借権等を設定した場合には農業経営が廃止され、納税猶予が打ち切られました。しかし、制度の改正により特定貸付を行った場合においても農業経営は継続されるものとみなされ、納税猶予が継続されることとなりました。
下記にて特定貸付について詳しくご説明しますのでご参照ください。
特定貸付とは
相続税の納税猶予の適用を受けている農地等を一定の事業のために貸し付けることを、特定貸付といいます。相続税・贈与税の納税猶予の対象地(採草放牧地を含む)について事業による貸付が行われた場合は、納税猶予は打ち切りになりません。下記の①~③の要件に当てはまる場合のみ適用されます。
①下記の事業に貸し付ける場合に限定
- 農地中間管理事業
- 農地利用集積円滑化事業
- 利用権設定等促進事業(農用地利用集積計画)
②贈与税の納税猶予の農地について、農地中間管理事業以外の貸付を行う場合は申告書の提出期限から貸付までの期間が10年以上あることが必要
贈与税の納税猶予の農地を農地中間管理事業によって貸し付ける場合又は相続の納税猶予の農地を貸し付ける場合には、いつでも特定貸付が可能です。しかし、農地中間管理事業以外の貸付を行う場合は、申告書の提出期限から貸付までの期間が10年(貸付年の年齢が65歳未満の場合は20年)以上であることが必要となります。
③特定貸付の対象農地に関しては市街化区域外の農地に限定
特定貸付の対象となる農地は、市街化区域外の農地に限られます。
納税猶予の特定貸付に関する注意点
- 特定貸付していた農地を相続した場合や農地の相続に伴い新たに特定貸付を行った場合でも、相続税の納税猶予の適用を受けることができます。
- 農業を営み20年継続したことで免除されることとなっている農業相続人が特定貸付を行った際は、適用されず免除事由は“終身農地利用”となり、その方が亡くなられたときのみ免除されます。
- 特定貸付農地を相続で取得し、取得後も貸付を継続することで納税猶予を受ける場合には、相続税の申告書に特定貸付を行っている旨の届出書の添付が必要です。
納税猶予の制度の利用を検討されている方は、大阪相続税申告相談室までご相談下さい。税務の専門家が制度の概要について詳しくお伝えさせて頂きます。