成年後見人を立てる場合の相続税申告
このページでは成年後見人制度と相続税申告の関係についてお伝えします。
成年後見制度とは?また、対象者は?
成年後見制度とは認知症、知的障害、精神障害などが原因で判断能力の不十分な方々を保護し、支援する制度のことです。保護や支援をする理由として、このような方々は様々な契約(介護サービスや施設への入所契約など)を締結する際、自分にとって不利益な契約を結んでしまう可能性があるからです。そこで、成年後見人という第三者が本人の代わりに契約を行っていくことになります。
相続税の申告においても、自分で適切な申告を行うことができないためにペナルティなどの不利益が生じることを防ぐため、必要に応じて成年後見制度を活用していくことになります。
成年後見制度の分類
成年後見制度は大きく分けて二つに分類されます。
1.任意後見制度
任意後見制度とは、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて本人が十分な判断能力のあるうちに、予め自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、財産管理、療養看護に関する事務について代理権を与える任意後見契約を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。
任意後見契約を締結した後、任意後見を発動させるためには、家庭裁判所に対して任意後見監督人の申立てを行います。任意後見監督人が選任されて初めて、任意後見が発動することになります。
2.法定後見制度
法定後見制度とは認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な方に対して、本人の権利を法律的に支援、保護するための制度です。
法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」の3種類が存在します。本人の状況に応じて、「後見」「保佐」「補助」のいずれかの申立てを行うことになります。
成年後見制度の利用開始までにかかる期間は?
結論から申し上げますと、特定の期間で開始されるかどうかは分かりません。選任されるまでに、成年後見人等の候補者の適格性の調査、本人の陳述聴取、鑑定手続などを行う際に個人差があるためです。しかし一般的には、申立てから開始するまで概ね4ヶ月程度と言われています。
実際の相続税申告の手続きは?
相続人の1人に成年後見人が就任している場合、相続税の申告書には下記の通り記載します。
- 名前の欄に(成年被後見人の氏名)成年後見人(成年後見人の氏名)と記載。
- 住所の欄に成年被後見人と成年後見人の両方の住所を記載。
- 個人番号(マイナンバー)は本人のものを記載。
- 成年被後見人とその成年後見人が記載された登記事項証明書を法務局で取得して申告書に添付。
相続人に判断能力が不十分な方がいらっしゃる場合、成年後見人の申立てを行う必要があります。成年後見の申立てには非常に専門的な知識が必要となります、その場合の相続税申告も成年後見人と連携を取りながら進めていかなければなりません。このような場合には、まずはお気軽に大阪相続税申告相談室までご相談ください。