小規模宅地の特例の按分
被相続人名義の土地の一部に対して、小規模宅地の特例が適用されるケースがあります。
例えば、土地や建物が共有名義であったり、土地上の建物が自宅および貸家で構成されていたりする場合です。そのようなケースにおいて、特例を適用した土地の相続税評価額を算出するには、適用範囲分の面積を按分する必要があるため、計算方法が少々複雑になります。
具体例を用いながら、下記にてご説明をさせていただきます。
按分により小規模宅地を適用した例
例 対象地を2人が共有で取得し、1人のみが適用要件を満たす場合
被相続人の自宅(土地300㎡)を、同居していた長男と、別の場所に住居を構えて生計が別であった次男が、1/2ずつ相続することになった場合を例に考えていきたいと思います。なお、土地については売却の予定はなく、家屋については長男が取得し、申告期限以降も住み続けるものとします。
特例が適用可能な面積
同居している親族の場合、
- 相続開始の直前から申告期限まで、その建物に居住していること
- 対象の宅地を申告期限まで所有していること
上記2つの要件を満たせば、小規模宅地の特例を適用できますので、長男は問題なく小規模宅地の特例を利用することが可能です。
別居している親族についても要件を満たせば、特例を適用することはできますが、同居している親族に比べて要件に細かい規定があり、その上すべてを満たさなければいけないため、対象者の範囲は狭まれます。今回のケースの場合、次男は小規模宅地の特例の適用を受けることができません。
そして、長男が小規模宅地の特例を受けることができる限度面積は、下記の通りとなります。
300㎡(被相続人の自宅の土地の広さ) × 1/2(長男の持ち分) = 150㎡(小規模宅地の特例が利用できる面積)
なお、被相続人等の居住用に供されていた宅地については330㎡までが小規模宅地の特例の対象となりますので、長男が相続する分の150㎡の土地はすべて適用可能となります。
上記の例のほか、土地上の建物が自宅と貸家で構成されている場合など、ひとつの土地に対して、使用方法が異なるケースがあります。それぞれのケースに応じて、要件や適用できる面積が異なるうえ、複数の宅地を組み合わせる場合の限度面積も設定されており、計算も複雑かつ専門的分野になりますので、まずは専門家にご相談ください。
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